第13章 変わりゆく日常と濃くなる影
二人の問いは丸っと無視して範囲を確認する。
「とりあえずさ、土は燃えないんだから、野焼きの範囲を囲う様にして、そこだけ草刈りしようよ。」
「本気でやるつもりか。」
「うん、ちんたらしてるのは性に合わないし。」
でしょ?と二人をじっと見ると、観念した様に二人とも両手を挙げる。
「はあぁ〜…。しょうがない、やるか。」
「やろうやろう♪」
よーし、影分身の術!
ボボンと一気に三体出した。
トウキとユウも影分身を出すと全部で十人。
鎌や鍬は多めに借りてきたから、それをみんなで分けた。
人一人分通れるくらいの幅の草刈りはすぐに終わり、私達はまた集まる。
「で、ここからどうすんだ?」
トウキは本当に知ってるのか、と言う様な疑いを向けながらも次を促す。
「次はね、今作った溝に水を撒いてよく湿らす。」
「水を撒く?それだけか?」
ユウの半信半疑な声に自信を持って頷く。
「それだけ。ただでさえ燃えない土に水を含ませる事で、火をより遮断するの。ってことでユウ、お願い。」
「…しょうがねぇな。」
渋々と動き、彼は影分身達にも指示を出すと、水鉄砲で溝に水を撒き始める。
十分に土が水を吸ったところで今度は私達の出番だ。
「まずは風上に立つ。風に火を広げてもらうの。いくよ、トウキ。」
「おう。」
二人で手前の枯れ草に火炎放射で火をつける。
ボウゥ、パチパチパチ…
簡単に火は付き、風が程よく煽ってくれて次々に燃え広がっていく。
途中で上手く火がつかない時は、また火炎放射で火を付けていった。
「意外に広がらないもんだな。」
「風がそんなに強くないしね。目を離さなきゃ何とかなるよ。半分以上が焼けたら、今度は風下から火を付けるよ。」
「何で風下からも付けるんだよ?」
ユウの問いに、トウキが閃いた様に目を瞠る。
「酸素を絶つ為か?」
「当ったり〜。さすが座学一番。」
「どういうことだ?」
ユウはまだぴんとこないらしい。