第13章 変わりゆく日常と濃くなる影
「お前、怖くなかったのか?」
トウキに聞かれて、一瞬ピンと来なかったんだけど、でも別段怖かったとかはない。
自分視点で場面場面が思い浮かんでくる様な感覚の夢で、その時々に想う感情一色になっていた。
「悲しい感じがしただけで、怖くはなかった。っていうか、寝る度にそういう夢を見て飛び起きるから全然寝た気がしないんだよね。」
ふあ〜、と盛大に欠伸をする。
「ところでさ、ナナホ先生は?」
任務で引率がいないってまずくない?
「…さっき抜けただろ。緊急の呼び出しだってさ。」
そうだっけ…?
…てへ☆
「てへ☆じゃねーわ。」
「いてっ。」
ユウに小突かれた。
「っていうかさ、これ今日中に草刈り終えなきゃなんだよね?」
冬の枯れ草って夏草よりも手強いのよね。
硬いし乾燥してるから取りづらい。
……。
乾燥、してるんだよね。
「…お前、何考えてんだ?」
ユウに聞かれて、すっと顔を起こしたら嫌な顔された。
何よ、失礼ね。
「これさ、草が無ければオッケーなんだよね?」
にっと笑って二人に聞くと、揃って顔を引き攣らせる。
「…まさか…。」
「燃やそう。野焼きにしよう。」
「「馬鹿が始まった…。」」
二人は頭を抱えてしゃがみ込んだ。
その隙に、トウキが持っていた依頼票をすっぱ抜くと、ざっと目を通す。
「ほら、別に刈ってくださいって書いてないじゃん。つまり、方法は自由なんでしょ?」
「だからって、先生がいない俺達だけの時にそれをやろうとは思わないだろ。」
「そうかなぁ?」
「燃やして事故ったらどうすんだよ。」
「事故らない様にしたらいいんじゃない?」
「そもそもやり方知ってんのかよ。」
「うん、知ってる。」
「「何で知ってんだよ…。」」
ぐったりする二人にテレビで見たから、とは言えない。