第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…
三十分くらい走って里に到着。
その頃には、里はすっかり夜の街と化していた。
検問を抜けてすぐに私達は解散となり、私達は別れ道に差し掛かる。
「じゃね〜、エニシ。」
「アンコさん、また〜。」
「今日はありがとな。」
「いいえ。こちらも貴重な経験でした。」
「また一緒になった時にはよろしくな。イタチも。」
「はい。」
「私は?」
自分を指差しながら、じとっとアオバさんを見上げる。
「そうだな、いつかな。」
分かった、当分ないと思われてるのね。
癪だわ。
「やらないとは言ってないだろ?早く追いつけよって意味さ。」
「…頑張りまーす。」
ぶー、ぶー。
「じゃ、またな。」
ライドウさんの言葉を皮切りに、私達はそれぞれ背を向けて遠ざかる。
「案外、楽しかったねぇ。」
私は今日のことを色々と思い起こす。
アンコさんの寝坊に始まり、磁場狂いなんて珍しい土地に赴き、不思議な洞窟に、不思議な人と不思議な鍵。
私は間に合わせの麻紐に通した鍵を胸元から引っ張り出す。
「それ、結局何なんだろうな。」
「ね。持ってても特に異常事態には見舞われなかったけど。」
兄ちゃんと二人で首を傾げる。
ふとイタチを見ると、彼も同じように首にかけた鍵をしげしげと見ていた。
「…もしかすると、この鍵は巻物と同じ様な機能があるのかもしれないな。」
「巻物って…、開くと術が発動する、みたいな?」
イタチは鍵から目を離さずこくりと頷いた。
「どうして、そう思うんだ?」
兄ちゃんに聞かれて、イタチは少しだけこちらを向くとまた視線を戻す。
「そうだな…。これといった確信があるわけではないんだ。強いて言うならば…。」
「勘?」
私が言葉尻を繋ぐと、イタチは困った様に少し笑ってこちらを見た。
「まあ、な。勘と言うにもお粗末な程理由はないがな。」
「いいじゃん?理由がないから”勘”なんだよ。」
私がにっと笑うと、何故か兄ちゃんには呆れられた。
「お前はもう少し土台となる根拠を見極める事を勧めるがな。」
「どういうこと?」
ちょっと難しいよ?