第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…
出されたご馳走をたらふく頂いた後、私達は早々にお暇することに。
割と沢山の人が見送りに出てきてくれてちょっとびっくりした。
その時、さっきの付き人さんがいたので、
「ごめんなさい。」
と、表彰状よろしく丁寧に封筒をご返却いたしました。
その人は断られるとは思ってなかったのか、少し渋い顔をした。
「忍の仕事よりは、幾分か楽で高収入かと。」
うん、確かにね。
未練は勿論ありますとも。
だけどね…。
「忍には忍の掟がある、というのもありますが…。私にはまだやらなきゃいけないことがありまして。」
運良くそれが達成出来たら、女中って道もあるのではないかと思ってる。
そして穏便に里から出れるとも未だ思ってる。
それに、元々忍って柄じゃないし。
「そうですか、残念ですね。」
その人は、返された封筒を一瞥すると半分に折り畳んだ。
私はにこっと笑うと、丁寧にお辞儀をする。
「ご馳走様でした。とっても楽しくて美味しかったです。」
「こちらこそ、ありがとうございました。」
その人も丁寧に礼を尽くしてくれた。
私は体を起こして少し笑う。
「では、ご縁があったらまた。」
みんなを見ると、それぞれが雑談やらお礼やらを交わしている。
私もその輪に混ざっていった。