第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…
だいぶ遊んで、猫ちゃん達も気が済んだらしい。
どでんと寝転ぶ率が増えてきた。
「気が済んだみたいだし帰ろっか。」
「そうだな。」
私は教えられていたベルを鳴らす。
すると、ビーという音が鳴り、さっきの女の人が駆けてきた。
「あら、随分遊んでもらったのね。タマ達が疲れたところなんて初めて見たわ。」
そう言いながら、ガチャンガチャンと鍵を外していく。
「どうぞ。」
キーっという音と共に扉が開き、私達は外へと出る。
はあ〜、楽しかった。
前世に行った猫カフェを思い出すわ〜。
規模が全く違うけど。
ふと、タマ達の方を振り返ると、二人は寄り添ってまったりモードに入っている。
放っておいたら寝そうだわ。
「いつもはね、この時間は檻の中をぐるぐると動き回るの。いくらこの中が広いったってねぇ、外と比べものにはならないでしょう?だからどうしても鬱憤が溜まっちゃうんでしょうね。」
その人は苦笑する。
確かに、大変だよなぁ。
お世話する方もされる方も。
「今日は遊んでくれてありがとう。あの子達の代わりにお礼を言うわ。」
「いいえ、こちらこそ。私、猫が大好きで。今日は思う存分遊べて嬉しかったです。」
「ふふっ。ありがとう。」
「あ、そうだ。これ、すみません。かなり壊しちゃって。」
私は持っていた巨大猫じゃらし達を差し出した。
イタチもそれに倣う。
「いいのよ、まだまだ沢山あるから。寧ろ、こんなになるまで遊んでくれた方が嬉しいわ。」
その人は柔らかく微笑みながら、私達からおもちゃを受け取ると、じゃあね、と言って去っていく。
すると、それを見計らった様に上から声が降ってきた。
「おーい!ご飯きたわよー!!」
言わずもがなのアンコさん。
「思った通りのご馳走よー!!」
「ふはっ!」
もー。ちょっと吹き出しちゃったじゃん。
そんなこと大声で言ったら恥ずいでしょーが。
私は笑いながら手を振って答える。
「今行きまーす!イタチ、行こ!」
「分かった分かった。」
私はイタチの手を取って走り出す。
食べるぞ〜!ご馳走〜!