第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…
体育館かって位の大きな檻の中で、すっかりくつろぎモードのタマちゃんとミケちゃん。
連れ添う様に大きな体を倒して毛繕いをしている。
ふぁ〜、かわえぇ〜。
「そんなに好きなのか?」
イタチの方を向くと怪訝そうな顔で見ていた。
みんなでいる時よりも顕著な表情の変化に、何処となくくすぐったさを感じながらも、満面の笑みで答える。
「うん、好きだよ。」
猫ちゃんLOVE。
すると、イタチはしょうがない奴だな、と言いたげに軽く小突いてきた。
「あら、あなた達がもしかして…?」
檻の手前で中を見ていたら、後ろから声をかけられる。
振り向くと、着物姿のちょっと小柄で綺麗めな女の人が立っていて、手にはタライを抱えている。
中居さんなのかな。
「えっと…、昼間にこの子達を保護?した者ですけど、遊んでほしいって伝言を貰ってきたんですが…。」
「やっぱり!ちょっと待ってね、今開けるわ。」
そう言って、帯の間から大きめの鉄鍵を取り出すと、檻の南京錠に嵌め込む。
「私、ここの世話番してるんだけどね、この子達の遊び相手が中々いないのよ。ほら、猫じゃなく虎でしょ?誰も相手にできなくてね。少しでも相手してくれると、この子達も退屈しないで済むから。」
そう話しながら、その人はガチャガチャと鳴らし、南京錠を外すと更に内鍵を外してドアを開ける。
すると、離れた所で毛繕いしていた二人はのそりと起き上がった。
私達が入ると、二人ともピンと尻尾が立って首がぐいんと上がる。
ははっ。めっちゃ嬉しそう。
「危ないと思ったら、あそこに緊急避難スペースがあるから、無理しないでね。もし相手できないと思ったらすぐに引き返して。いいわね。」
「大丈夫です。ありがとう。」
私が穏やかにお礼を言うと、その人は少し瞠目してから柔らかく笑う。
「そう、じゃ帰る時はここのベルを鳴らしてね。迎えにくるわ。」
「分かりました。」
私が了承を返して手を振ると、その人も軽く手を振り何処かへいってしまう。
それを少し見送ってから、イタチに振り返った。
「よし、遊ぼっ。」
少し面食らった様な顔で私を見た後、柔らかく笑った。
あ、この笑顔好きかも。
ま、何はともあれ。
レッツ、プレイターイム!