第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…
タマと呼ばれた子が私に懐いたのを見たせいか、もう一人の子…ミケも私の言う事を素直に聞いてくれる。
聞いてくれるって言っても、意思疎通が出来るとかじゃなくて、懐いてくれてて”おいで”とか”止まって”とかの簡単な指示が通るってだけだけどね。
それでもお世話係さん達にしてみると、それすらも衝撃的らしい。屋敷に送り届ける間ずっと驚かれていた。
そう!なんと!この子達は大名家の御親戚の子達なんだって!
道理でこんな手のかかる子を飼おうと思うわけだ。
「ご親族様っていいわねぇ。」
アンコさんは広い屋敷を見渡しながらしみじみと呟いた。
私達は今、揃ってお呼ばれ中なのである。
脱走したタマちゃんとミケちゃんを、無傷で捕獲してくれたお礼なんだって。
「やっぱ、人間持つなら金ですよね。」
「下品だぞ。」
とは、アオバさん。
「え、だって金さえあれば何でも出来る!を体現してるでしょ?」
見てよ、このお手伝いさん達の数!
一体何人いるんでしょ?
「毎日贅の限りを尽くしてんでしょうね。晩飯は期待できそうね。」
と宣うのはもちろんアンコさん。
「だからやめれ。」
「お前らってよく似てるよな。姉妹みたい。」
「俺もそう思います。」
アオバさんは額を抑え、ライドウさんと兄ちゃんは少し呆れた様に肩をすくめる。
「いいじゃんねー、エニシ?」
「いいもーん。姉妹上等!」
私達は見せつける様に腕を組み、ねー!と頷き合った。
「エニシ。」
真後ろで突然声をかけられて少しびっくりしながら振り向くと、そこにはイタチがいた。
「…どうしたの?」
色々な巨大猫じゃらしを持って。
やばい。ちょっとツボかも。
既のところで笑いを呑み込み平静を装う。
「そこでこれを預かった。遊んでやってほしいそうだ。」
何をとは言わずもがな。
猫ちゃん達との触れ合いタイムが許可された瞬間である。
「いいの!?いやっほーぃ!」
私は猫じゃらし達を受け取ると、小さく飛び跳ねた。
「ね、イタチも行こうよ!」
「いや、俺は…」
「絶対楽しいって!」
「お、ぃ…!ちょっ…!」
私は何にも考えずに空いてる方の手でイタチの手を掴むと駆け出した。
待ってて〜!猫ちゃん達〜!