第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…
暫く猫ちゃんを(虎だって)堪能していると、複数の足音が聞こえてきて猫ちゃんと同時にその足音の方を向く。
「どうした?」
いち早くその様子に気がついたイタチから声をかけられた。
「向こうの方から足音がするの。」
猫ちゃんは耳をぴくぴく動かしながら尻尾を立てる。
待ってたよー!と言いそうな感じだ。
試しに拘束具を解いてみる。
「「「エニシ!!?」」」
「うぉっ!びっくりした。」
三人に間近で怒鳴られて思わず肩が跳ねた。
「あんた、何やってんのよ!?」
「折角捕まえたんだぞ!?」
「どうどう…。」
アンコさんライドウさん、顔近いがな…。
「まぁ、見ててくださいって。たぶん大丈夫だから。」
離してあげた猫ちゃんはその場にお座りすると、耳をぴくぴく忙しなく動かす。と思えば、たったか小走りに走り出した。
この間、私達に興味を持つことは殆どない。
私は二人を振り返りVサインを見せると、その子の後を追う。
すると、程遠くない所で飼い主と思しき人達が探してるのが見えた。
「アオン。」
少し甘えた様な太い声を出して止まると、探している人達がこの子に気づいた。
そして他の人にも声をかけると、わっとそれが広がり、あっという間に集まった。
「良かったよー。見つかって本当に良かった。」
「タマか!よく戻ったな!」
「ミケはどうしたんだ?ところであなたは?」
心配してたんだなぁ。
みんな言いたい事を言い出した。
「通りすがりの者です。この子ともう一人の子が襲いかかってきたんでやむなく止めました。」
「こいつらを止めた!?」
「君は忍か!?」
「はい、まあ…。」
そんな驚くことかな…?
「そ、そうか…。それはすまなかったな。」
「君の歳で忍をしているのが少々驚いてしまってな。」
「君は一人かい?」
「いいえ、向こうにまだいます。」
「エニシ〜!もう一匹どうにかして〜!」
少し離れた場所に立ってるアンコさんに呼ばれて振り返る。
「は〜い!じゃ、もう片方の子も連れてきます。」
「あ、あぁ。」
私は元の道を戻っていった。