第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…
「何だかよく分かんないんだけどさ。知らない人から与えられた得体の知れないものなんか律儀に持ってることもないんじゃない?」
アンコさんの言うことは尤もなんだけど、そうも簡単には、そうしましょう、とは頷けない。
何故かは分からないけどしたくない。
それはイタチも同じようで、私達は益々困りながら手元と互いの顔を見比べる。
「はっきりしないわね。」
アンコさんは怪訝な顔で私達を見下ろした。
「はっきりさせたいのは山々なんですけどねぇ…。」
自分でもどうしていいのか分からない。
「気になるなら持ってたらいいさ。捨てるのは簡単だからな。」
「そうだな。気に入らなきゃいつでもポイしたらいいんじゃないか?」
アオバさんとライドウさんの言葉に、何となくほっと息をつく。
「そう、だよね…。持ってる分にはどうってことないし。変な物だったらポイすればいいんだよ。」
私は鍵をきゅっと握り込んだ。
とりあえずは持っててみよう。
どうするか決めるのは後だっていい。
何か起きたらまた相談でもしよう。
「うん、そうしよう。」
よし、と少し腹に力を込める。
「そうだな…。何もなければそれで良し。何かあれば処分する。」
イタチも自分の鍵を握りしめると、私を見て頷いた。
それを見て、私も頷き返す。
アンコさんは結論が出たとばかりに、ぱんっと足を叩いて立ち上がる。
「よーし!じゃ、帰るわよ。」
「おっす!」
そう応えて、すくっと立ち上がると、兄ちゃんが少し笑った。
「元気そうだな。」
「何よりじゃないか。」
アオバさんが兄ちゃんの肩を叩いて少し笑った。