• テキストサイズ

もう一度、を叶えるために。first

第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…



「!!?」

言葉にならないくらい驚くってあるのね。
石が溶けて元に戻るなんてあり得るの??

「これ、どうなってるの?」

「いや、私に聞かれても…。」

ゴチながら落ちた鍵を拾う。
特に割れてるとかはなく、綺麗なまま。

「っていうか、そもそもこれ何処で手に入れたのよ?」

「さっき…、知らない人から…?見たことない人だったからよく分からんのですよ。」

夢の中で貰った、って表現はアリですか?

「…それなら、俺も似た様な物を譲り受けた。」

静かに聞いていたイタチが口を開き、自身の手を開くと、同じ様なレリーフの金と黒の混じった鍵を差し出した。
私のも差し出して比べてみると、似てるけど微妙に形が違う。
けれど、大きさは全く一緒。

「触ってみてもいい?」

「あぁ。」

了解を得てから、イタチの鍵をそっと摘み上げる。
すると、予想通りどろっと溶けて指からするりと抜け出してしまい、再びイタチの手の中に戻った。

「俺も触っていいか?」

兄ちゃんが私とイタチを見て言うので、私もイタチも頷いて見せた。
兄ちゃんが両手で私達の鍵を摘み上げると、やっぱり溶けてすり抜けてしまう。

「エニシとイタチ以外持つことも出来ないのね。」

「そうみたいですね。」

私はじっと手元を見つめる。

「…これさ、肌身離さず持っているように、って言われたんだよね。」

こんなの持ってて大丈夫なんだろか。

「俺も…、そう言われた。…何があっても手放してはならない、と。」

イタチも何とも言えない困った様子でぽつりと呟いた。
私の視線に気がついたイタチが益々困った顔をする。
私もきっと困った顔してるんだろうな、なんて片隅で思いつつ、どうしたもんかと頭を悩ませる。

/ 662ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp