第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…
「!!?」
言葉にならないくらい驚くってあるのね。
石が溶けて元に戻るなんてあり得るの??
「これ、どうなってるの?」
「いや、私に聞かれても…。」
ゴチながら落ちた鍵を拾う。
特に割れてるとかはなく、綺麗なまま。
「っていうか、そもそもこれ何処で手に入れたのよ?」
「さっき…、知らない人から…?見たことない人だったからよく分からんのですよ。」
夢の中で貰った、って表現はアリですか?
「…それなら、俺も似た様な物を譲り受けた。」
静かに聞いていたイタチが口を開き、自身の手を開くと、同じ様なレリーフの金と黒の混じった鍵を差し出した。
私のも差し出して比べてみると、似てるけど微妙に形が違う。
けれど、大きさは全く一緒。
「触ってみてもいい?」
「あぁ。」
了解を得てから、イタチの鍵をそっと摘み上げる。
すると、予想通りどろっと溶けて指からするりと抜け出してしまい、再びイタチの手の中に戻った。
「俺も触っていいか?」
兄ちゃんが私とイタチを見て言うので、私もイタチも頷いて見せた。
兄ちゃんが両手で私達の鍵を摘み上げると、やっぱり溶けてすり抜けてしまう。
「エニシとイタチ以外持つことも出来ないのね。」
「そうみたいですね。」
私はじっと手元を見つめる。
「…これさ、肌身離さず持っているように、って言われたんだよね。」
こんなの持ってて大丈夫なんだろか。
「俺も…、そう言われた。…何があっても手放してはならない、と。」
イタチも何とも言えない困った様子でぽつりと呟いた。
私の視線に気がついたイタチが益々困った顔をする。
私もきっと困った顔してるんだろうな、なんて片隅で思いつつ、どうしたもんかと頭を悩ませる。