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もう一度、を叶えるために。first

第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…




ふと気がつくと、今度は誰かの背中で揺られていた。
誰とは聞くまでもなく、兄ちゃんの匂いがする。
変わりゆく茜色の空に、少し冷たくなった風が時々吹き抜ける。
川沿いを、ポツポツと明かりが灯り始める家々を見ながら家路を歩いていく。

あったなぁ。
遊んでもらって家に帰る時に、こうしておんぶしてもらうこと。
さすがと言うべきか、この頃には既に危なげなく私をおんぶ出来るまでになっている。
たぶん、アカデミー一年生か二年生か…。
前世だったら、鼻垂らしててもおかしくない小学生の時分。
どんな子どもだ?って思うでしょ。


ゆらゆらと揺れながら、大きくてあったかい背中に少し頬ずりをする私。
子どもながらに好きだったんだよね。兄ちゃんの背中。
時々うつらうつらしながらも、こうして嬉しくてすりすりとすることがあった。
私のために時間を割いてくれるのが嬉しかった。
それなりに本気で遊んでくれるのが楽しかった。
平凡だけど幸せな思い出。

こういうの見ると、益々思うんだよね。
続いていってほしいな、って。



それからも、何気ない兄ちゃんとの日常や、お母さんとのお喋りや料理、時々お父さんも揃ってて家族で過ごす家。
色々な場面に戻って追体験してる感じ。
こうしてみると、思い出って案外いっぱいあるもんだよね。
リアルなスライドショー見てるみたいで楽しい。

素直に楽しい、んだけど…。
思い出は楽しむもので、入り浸りたいわけじゃない。

さて、困った。


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