第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…
当然私の叫びは口から出ることもなく、目の前でひたすらにガラガラとおもちゃは鳴る。
しかも、何故か楽しいとかハマるって感覚に全身が満たされている。
「嬉しいな、エニシ。」
言ってる君が嬉しそうよ。
っていうか、まさかの兄ちゃんなのかしら?
私の体も赤ちゃんみたいだし。
シスイって呼ばれて返事するなら可能性大だ。
…私、何でここにいるんだろ。
いや、今と違う純朴そうな兄ちゃんを見れたのはある意味貴重ではあるが。
ふと、兄ちゃんが私の頭を優しく撫でる。
少し小さな、でも優しい手が心地よく薄い毛を撫でていく。
気持ちいいな…。
大事にされてるのが伝わる。
心地よい真綿で包まれてるかの様な居心地の良さに、徐々に眠気が湧き上がる。
「おやすみ、エニシ。」
与えられる安堵と優しさにすっかり包まれて、ゆっくりと目を閉じていった。