第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…
「あーあ、しぬかと思ったわ。」
「あんたが余計な事言うからよ。」
独り言のつもりが、アンコさんにはしっかり聞かれてて小突かれた。
いやん。
「これからどうしますか?」
兄ちゃんが隣のライドウさんに話しかけた。
「どうしたもんかね…。」
けれど、ライドウさんは考えあぐねてるらしく、更に隣のアオバさんを見る。
これまたアオバさんも考えあぐねてるらしくて、うーん、と唸って黙り込んでしまった。
空高くから、小さな灯りが雪の様に降っては真っ黒な地面に吸い込まれる様に消えていく。
まるで蛍みたいな淡い黄色の穏やかな光。
時々、水色や緑、赤も混じってる。
どれもやっぱり淡くて優しい光。
試しに手に取って見ると、雪の様にふわっと溶けて消えてしまう。もちろん、冷たくもなく感触もない。
それが体の至る所に当たっては溶けて消えていく。
「本当に雪みたい。」
そう言えば、地面ってどうなってるのかなって思って、試しにパンパンと軽く踏み鳴らしてみる。
すると不思議なことに、さっきまで岩だったそこは滑らかで少し柔らかくマットな質感になっていた。
手触りはどうでしょう、と思い両手を出してしゃがみ込む。
すると不思議な事に、サンダルより指先がすっと沈んだのだ。
反射的に手を引っ込めて確認するも、手は何ら異常はない。
もう一度、そろりそろりと手を当ててみると、やっぱり少しだけ手が下に沈む。黒い水に浸してるみたいに、手の輪郭はぼんやりとして黒ずんでいる。
すると、目の前でもう一つ手が沈んだ。
ぱっと顔を上げると兄ちゃんが、同じ様にしゃがんで地面を確かめていた。
「さっきと違う場所にでも来たか…?」
「それにしては何の感覚も無かったな。」
イタチも同じ様に私の隣にしゃがみ、確かめる。