第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…
「ってことは、これを岩で立体化させればいいんじゃないですか?」
そうすれば、横から見ると波に見えなくもないし。
「よし、やるわよ。」
「ガッテン!」
言うが早いか、私達は図面に沿ってせっせと土を盛る様に岩を生えさせていく。
兄ちゃんとライドウさんも要領が分かったのか、せっせとやり始めた。
「出来た〜!」
「こうして見ると可愛いわね。」
うんうん、確かに可愛い。
「今度は上いってみよう〜!」
私達は天井に素早く飛び移り、同じ要領で薔薇を立体的に浮き上がらせた。
すると、方陣が淡い緑の光を放ち、そこから細い蔓の様な細い光が下に向かって伸び始めた。
下を見上げると、下も同じ様に光っていて、光の蔓が天井に向かって伸びている。
私達が方陣の外に出ると、その勢いは更に増した。
光の蔓には薔薇の葉が生えて、赤い光の薔薇も咲く。
無造作に生えてる様だけど、均整が取れてて不思議なことに芸術的に見える。
「「うわぁ〜…。」」
私とアンコさんが感嘆の声を上げて薔薇に触れようとしても、手が素通りしてしまって触れられない。
まるで幻影だ。
私達がアートの様な幻影を楽しんでいると、ふわりと空気が動いた。
音もなく何かが動き、やがてドームも階段も消えて、明かりも消えてしまう。
寄る辺となるのは、目の前にある光の薔薇だけ。
「どうなったの…?」
私は辺りを見回しながら、恐々とアンコさんの袖を掴む。
「分からないわ…。」
アンコさんも不安そうに辺りを見回している。
「おい、上を見てみろ…!」
ライドウさんの声に弾かれた様に上を見ると、天井より更に上の方から小さな灯りがゆらゆらと降ってくる。
「天井が無くなった…?」
「そんなわけないでしょ…。そんな馬鹿なことあるわけ…。」
アンコさんも半信半疑なんだろう。
私も自分の目が信じられなくなってる。
幻術の類かと写輪眼に切り替えて見てるのに、何の変哲もないんだもの。
ついでに言えば、天井にあった方陣は消えて、薔薇もぱらぱらと消え始めている。