第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…
「その水牢って、中の水かき混ぜられる?」
イタチに聞くと水牢の中身を撹拌して流れを作ってくれる。
だけど、やっぱり反応はない。
ってことは、直に方陣に当てる?
「それを解術して、方陣に溢してみたら?何か反応あるかな。」
イタチは私の言った通りに、術を解除してパシャっとばら撒いた。
すると、床の方陣は水のかかった部分だけ淡い水色に光り、散らばった水を集める様に吸い込み出した。
イタチはさっと方陣から外に抜け出す。
そして、それは小川の如く流れを生み、やがて方陣全体を満たした。
「…まるで水路みたいね。」
隅々にまで行き渡った水は、滞ることなく方陣の線をなぞる様に流れている。
淡い光で照らされている水はきらきらと煌めいて綺麗だ。
「だが、次が開かないな。」
アオバさんとライドウさんは辺りを見回した。
「確かにそうだな。」
「前回来た時はどうだったんですか?」
私が聞くと、二人は困った様に顔を見合わせた。
「そもそも、仕掛けが違うんだ。」
「こんな精巧な仕掛けはなくてな。次々と土遁や水遁を扉に当てて開けて行ったんだ。」
アオバさんが困った様に少し笑う。
「結構手こずったんだよな。なんせ、何の術が有効なのかさっぱり分からなくてな。端から色々ぶっ放してたんだよ。」
「え?んじゃ、その時は制約とか無く術が使えてたんですか?」
私の時はさっき土遁が使えなかった。
「そういえば使えてたな。」
ライドウさんが暢気に答える。
おいおい…。まぁ、害はなかったから良かったけど。
「当たりの術以外は扉に吸い込まれるみたいに掻き消えるんだ。それで、制約があるんだろうとは何となく思ってたんだが。」
アオバさんの言葉に私は考え込んだ。
どう解釈しても、前回のアオバさん達が辿った道ってダミーだったんじゃないのかな、と。
確証はなく、勘なんだけど。