第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…
「じゃあ、次に行くぞ。」
アオバさんの掛け声で、ぞろぞろと移動が始まる。
ぽっかりと空いた階段を降りると、さっきと同じ様な空間があった。
でもどこにも出入り口がない。
まるで地下室のシアタールーム的な感じだ。
天井と床にはこれまたさっきと同じ様に綺麗な円形の図柄。
「…あれ?」
と、そこで私はあることに気がついた。
光源が全くないのに、しっかりくっきり部屋の隅々まで見えるのだ。
私は降りてきた階段をもう一度駆け上り、階段入り口からさっきの部屋を覗き見る。
すると、やっぱり全体がくっきりはっきり見渡せた。
光源はどこにもないし、なんだったら入ってきた入り口の方がちょっぴり薄暗いかも。
「エニシ、どうしたのよ?」
「アンコさん、ここの光源ってどこにあるんですか?」
私の質問で、意図を汲み取ってくれた。
「あー、それね。私達も不思議だったんだけどねぇ。結局、ここがどうやって照らされてるのかは謎のまま。さっきもあんたの兄貴達が探そうとしたんだけど、見つけられなかったみたいよ?」
「そうなんだ…。」
不思議。どういう仕組みなんだろ。
兄ちゃんやイタチにも見つけられないなら、きっと誰も見つけられないだろうな。
「それより、次もあれを詠んでみてよ。また知ってる言葉が描かれてるかもしれないでしょ?」
そう言って、アンコさんは図柄を指さした。
私は素直に頷く。
「分かりました。」
私達は、再び階段を降りていった。