第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…
「時々、うちはに寄る行商人が面白いものを持ち込むんです。エニシは掘り出し物を見つけるのが得意でね。」
兄ちゃんの言葉にみんなが驚く。
「そうなのか?」
うん、相変わらずの天然バカ真面目。
イタチだってその行商人知ってるのに。
「時々な。運だよ。」
「そうか。」
お願い、それ以上突っ込まんで…!
「それすごいな!」
ライドウさんを皮切りに、わっとアンコさん達のテンションが上がる。
「エニシ、凄いじゃない!今度その本見せて!」
アンコさんが再び揺さぶり始めた。
「いや、その本もうどっかいっちゃいました。」
「はああ〜!?」
いや、そんな怖い顔されても…。
「九尾事件で家は半壊でしたし。家財道具の半分以上は壊されたんですから。」
嘘ではない。
お気に入りの本だって小物だって泣く泣く諦めたんだから。
「はああ〜…あっそう…。九尾め…。」
テンションダダ下がりで肩を落とすアンコさん。
ごめんよ、クラマさん。
ちらっと兄ちゃんの方を見ると、ライドウさんとアオバさんに色々聞かれてる感じ。
今度行きたい、みたいなことを言われてたけど、今はうちはがピリピリしてるし、うちはにしか行商人は来ないから、みたいなこと言って上手く躱してた。
断じて嘘ではない。
すげーわ、兄ちゃん。
尊敬するよ…。