第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…
「んじゃ、今度は生身で試してみますか。」
「だな。因みにこれ、一人一個嵌めないと作動しないぞ。」
「うわー、それ聞くと余計に気味悪いわ〜。」
私は笑うしかない。
それで最初に封印が変わったって顔引き攣らせてたのね。
「とりあえず入ってみない事にはどうとも言えないからな。」
兄ちゃんはすっと前に出た。
それに倣ってみんなもそれぞれ窪みの前に立つ。
「よし、せーのでいくぞ。」
アオバさんが私達を見回し、みんなもそれぞれ頷き返す。
そして彼は自分の手元を見ると、短く息を吐き出した。
「せーの!」
彼の掛け声で、私達は一斉に拳を嵌め込む。
すると、中央の円形の模様が淡く水色に光り、目の前にあった扉が掻き消える様になくなってしまう。
「開くんじゃなくて消えるんだ。」
こうなると、法則や規則がある忍術ってより、何でもありの魔法って感じだよね。
「あっはっはっ!いい顔するじゃない!」
「ひとの驚く顔を笑うとは趣味悪いですよー。」
じとっと見上げると、逆に尖らせた唇をむぎゅっと掴まれた。
「褒め言葉よ。親近感が湧くってこと。」
にっと笑う顔はニヒルでちょっと色っぽい。
「ほら、行くぞー。」
先を歩き始めたライドウさんが私達を呼ぶ声がして、ぱっとアンコさんから離れた。
「はーい。ほらほら、行きますよ。」
「はいはい。」
私はアンコさんの手を取って急いで後を追った。