第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…
「ちなみに前回ここに来たのはいつですか?」
「確か…、三日前だったぞ。」
「ここ三日間の天気は…、確か夜半に雨が降ってること多かったですよね?」
ここに来る時も、地面は湿ってた。
ぬかるむ程じゃないけど、靴は汚れる。
「つまり、誰かが入れば足跡が付くはず、ってことか?」
ライドウさんが言う。
「けれど、私達の足跡だってついてないわよ?」
アンコさんが解せない様子で今し方通った道を見返した。
「だけど、多少なりとも泥や葉っぱは落ちてるもんですよ。」
因みに私の足元には枯れた松の葉っぱが落ちている。
しゃがんで覗き見ると分かるけど、薄らと泥の足跡だって付いている。
きっとまだ地面が湿ってるのね。
「因みにここ最近は珍しくいいお天気が続いてて乾燥しっぱなしでしたし。アンコさん達がここを見つけた時だって、地面が乾いてませんでした?」
「まぁ…?」
「晴れてた、かな…?」
「晴れてたぞ。」
アンコさんとライドウさんは、あやふやな様子で首を傾げるが、アオバさんはしっかりとした答えが返ってきた。
「つまり、泥による足跡は付きにくかった。ってことです。もし他の人が入ったとすると、アンコさん達が出たすぐ後にここに入ったことになりますよね?」
罠を張るってことは、アンコさん達を認識してるってことじゃん。
でなきゃ、誰が来るかも分からない所を態々閉めて手間のかかる仕掛けを仕込む?
「いや、それは難しいな。俺らがここを出たのは凡そ四時前後。」
「しかも目印をつけながら帰ってきたから、かなりの時間周辺に留まってたことになる。」
「その間、人の気配がすれば気づくはず。」
私の問いに、ライドウさんアオバさんアンコさんが答える。
「けど、扉の前は何の足跡もない。」
壁や天井にだって足跡なんてものは全くない。