第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…
イタチの示す先に黒い目印が見つかり、一つ見つけると次の目印も簡単に見つかり、容易に目的地へと辿り着けた。
「よかったー。ちょっと駄目かと思ったんだよなー。」
ライドウさんが大袈裟なくらい胸を撫で下ろした。
「イタチのお陰だな。ありがとう。」
「…お役に立てて良かったです。」
アオバさんが律儀にお礼をするのを、イタチはちょっとむず痒そうに受けていた。
年功序列の意識が高い世界。
アオバさんの立場だったら、ふんぞり返っててもおかしくはない。
まあ、縦社会ってそんなもんだよね。
でも、アオバさんは違った。
ライドウさんもアンコさんもね。
他にもそういう人いっぱいいると思うんだ。
…うちはのみんなもなぁ。
一歩外出れば違ってくるのになぁ…。
「エニシ。」
呼ばれると同時に強めに頭を撫でられる。
見上げると、兄ちゃんが困った様に笑っていた。
「成る様にしかならないだろ?」
「そう、なんだけど、さ…。」
「あんまり深くは考えるな。機会はきっとくる。」
「うん…。」
前世では決まった道筋で、決定された”過去”だった。
だけど、今はまだ”現在”で、全ての事柄が未定だ。
「うん、そうだね。まだ大丈夫、だよね。」
まだ変えられるって…そう思いたい。
そうじゃなきゃ…。
「よし、入ってみようぜ。」
ライドウさんの掛け声に、私は気持ちを切り替えた。