第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…
「コンパス見せてもらっても?」
兄ちゃんの言葉に、アオバさんが差し出す。
受け取った兄ちゃんは早速手の平に乗せて確認し出した。
「…これはかなりの狂いがありそうですね。」
「おおぅ…。」
確かにメトロノームよろしくぐわんぐわんと針が振れている。
こんだけ狂ってたら、そりゃ方向も定まらないわけだ。
あとは…。
「他の目印となるものは残してないんですか。」
そうそう、それそれ。
イタチのナイスな質問にうんうん、と私も頷く。
「一定の間隔で黒い紐を木の枝に巻き付けて来たんだけど…。」
ライドウさんは困った様にアオバさんを見る。
「それが中々見つからなくてな。」
アオバさんも少し肩を落とした。
折角の目印が見当たらないんじゃあねぇ。
気落ちするのも分かる気がする。
「もー、この際四方に分かれて探した方が早いんじゃない?」
…さてはアンコさん飽きてたな?
私も飽きてきてたから探しに行きたい気はするのよね。
でも、こんだけ磁場が狂ってるとなると…。
「やめた方がいいかも。私、前に本で読んだことあるんですけど、磁場の狂いって、鳥だけじゃなくて人間の方向感覚とかも狂いやすくなるんですって。」
「となると、四方に分かれていざ戻ろうとした時に戻れなくなる、ってことか?」
イタチの問いに、私はこくりと頷く。
「三半規管もそうだけど、脳の中の空間把握能力も少なからず歪むんだってさ。」
「なら、ここで散らばるのは悪手になりますね。」
兄ちゃんは考え込む。
「んじゃどーする?」
アンコさんは面子を見回した。
うーん、どうするか…。
「とりあえず、目印さえ見つかれば何とかなりそうだよね?だから、新たに目印をつけながら、ここら辺十数メートルの捜索するってのはどうです?」
「それよりも探しながら進んだ方が良くないか?」
「けど、さっきまでそれをやってて見つからなかったろ?やり方変えた方がいいんじゃないか?」
私の問いにアオバさんが答え、更にライドウさんが答える。
さあ、意見が割れたぞ。