第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…
「アンコさーん、どこまで歩くんですかー?」
私はものの三十分で山歩きに飽きてしまった。
「いいから黙ってついてきな。」
「さっきも聞いたっすよ。」
「行けば分かる。」
「それも聞いた!」
さっきから只々怠惰に歩いてる様なもんじゃん。
出発時、少し距離があるからって言って二十分くらいは走ったの。
だから、また走ればいいのでは?って思ったんだけど、ここからは磁場の狂いもあるし、マップの記録を頼りに進まないと行けないらしく、さっきから立ち止まっては確認してを繰り返してる。
「だああぁ!うっさいわね!黙ってついてきなさい!」
ゴン!!とまたゲンコツが落とされる。
「痛いってば〜!暴力反対〜!」
先頭では、アオバさんとライドウさんがこちらを気にすることなく、あーでもないこーでもないとぶつぶつと言い合っている。
私がぶーたれながら頭をさすっていると、後ろにいた兄ちゃんがはあ、と小さくため息をつく。
「…あの。地図を見せてもらってもいいですか?」
そのアオバさんのライドウさんは互いに見合って目をぱちくりと瞬かせてから、兄ちゃんの方に振り向いた。
「俺らが描いた概要だけのイラストだけど…。」
「それでもいいなら…。」
と言って、近づいていった兄ちゃんに見せる。
「それこそ、文殊の知恵になるかもしれないじゃないですか。」
兄ちゃんは困った様に笑った。
それを見た二人も釣られて、少し照れくさそうに笑う。
「じゃあ…。」
「悪いな、手伝ってくれ。」
兄ちゃんが加わると、すっとイタチも輪に加わった。
んじゃ、私も。どれどれ…。
北、南、東、西…。
ふーん、南側に里があるわけか。
で。現在、東よりの北に進行中、と。