第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…
「エニシ!!ここは公共の場だぞ!!」
シスイは咽せつつ怒鳴る。
エニシはそんなシスイを宥める様な素振りを見せつつ、苦笑いを浮かべた。シスイが珍しく怒鳴ったからだろう。
「ごめん、つい。」
「何でも思ったことをそのまま口に出すな!」
「すんません…。」
遠くの方から、”大丈夫か?”というマイト・ガイの声が聞こえたことから、カカシにもこの強烈な一言が聞こえたのだろう。
彼が超人的に優れた聴力を持っていることは有名な話だ。
「…なぁ、本当にこの子うちはの子なのか?」
イタチの前に座っていたアオバが、彼とエニシを見比べながら尋ねるのが少し面白い。
イタチはくすりと僅かに笑みを溢しながら頷く。
「えぇ。エニシは歴としたうちはの”風雲児”ですよ。」
アオバはそれを聞き、困った様に笑う。
「風雲児、ねぇ。確かにうちはにはいい風になりそうだ。」
アオバはエニシを見る。
そこには、先程の様な警戒の色は消え失せていた。
きっと、いい意味でエニシを気に入ったのだとイタチは思う。
彼女には不思議と人を和ませる魅力がある。
イタチも怒るシスイを宥めるエニシを見た。
ふと気づくと、彼の奥底に降り積もっていた泥は綺麗に消え失せていた。