第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…
そして、アンコが言いにくそうに口を開いた。
「…その子もね、戦死なのよ。」
エニシはひゅっと息を呑んだ。
「聞いた話だとね、どうも知らぬ間に四尾を身体に埋め込まれたらしくてね。カカシが…」
「やめとけ。それ以上言って何になる。」
アオバの一言でその場が静寂に包まれる。
他の席から聞こえる人々の声だけが、あちらこちらからクリアに聞こえてきた。
だが、その中でもエニシは、そわそわと静寂を壊す。
「あー…。で、そのリンさんの他には?」
「…お前、肝が座ってるのな。この空気で聞くか?普通。」
ライドウは呆れ返るも、気にするエニシではない。
「いや、こんな中途半端にされると気になるじゃないですか。結局誰がカカシ先生のハートを射止めたのか!」
「「そこかよ。」」
「あっはっは!!やっぱいいわ!この子!」
イタチは脱力しながらシスイを見ると、彼もまたゲンナリした様な顔つきでこちらを見た。
イタチはシスイも同じ様に思っているのだろうと感じ、彼等は揃って小さくため息をついた。
イタチにはそれが少し可笑しくて、小さく笑う。
それは、シスイ以外は誰も気が付かないほどの小さな笑みだった。
「っていうか、お前はカカシが他の女と付き合ったって聞いて何とも思わないのか?」
アオバは理解できないと言った風に、エニシに尋ねると、彼女は同じく理解できないと言った風に首を傾げた。
「うーん、特には思いませんけど…。」
「じゃ、カカシと付き合いたいって思わないのかよ?」
ライドウも不思議そうに尋ねる。
「…え〜…。カカシ先生と…?」
エニシはそのまま考える素振りを見せた。
きっと、想像しているのだろう。
カカシと付き合う自分を…。
イタチの胸に、また少し泥が降り積もる。
「いやー、ないな。あんな完璧な人が彼氏とか、きっと毎日自己嫌悪しますよ?」