第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…
「…あったあった。イタチっておにぎり好き?」
私、ここのおにぎり結構好きなんだよね。
別段特別な具は使ってないけど、素朴で優しい塩加減が美味しいんだわ。
「あぁ、好きだな。」
良かった。
「これ。ここのおにぎりオススメだよ。」
私はメニュー票を彼に差し出した。
「三種類あってね、おかかと昆布と梅。全部美味しいよ。」
イタチは興味深そうにしげしげと見始める。
「そうか。…ならば、おかかを頼むかな。」
ふ〜ん、おかかが好きなのか。
「あとね、浅漬けとかたこわさとかじゃがバタとかもオススメだよ。」
「…お前、何でそんなに詳しいんだ?」
言われて、メニュー票から顔を上げると、何故か私を渋い顔で見ている兄ちゃん。
なんだなんだ?
「何で、って…。トウキに誘われるから。」
意外にトウキのお家は裕福だったりする。
さすが本家ですなぁ。
今までトウキとユウは、単にお家同士が仲がいいだけかと思ってたんだけどね…。
因みに諸事情あってユウは中々来たがらない。(笑
でもユウのお姉さん’sとは仲がいいからよく来るんだわ。
で、ご親戚の方々含め、ここ焼肉Qが御用達なのでございます。
「…班で来てるのか?」
兄ちゃんからの問いに、私はにまっと笑う。
「いや、ご親族様御一行に便乗させてもらってまーす。」
ご親族の方々がキョーレツなんだな、これが。
すっごい面白いの。
「…そういうことか…。」
「何でホッとしてるの?」
何を疑われてたんでしょう、私。
「いや…、こっちの話だ。」
すすすっと目を離す仕草を見てピンと来た。
「はは〜ん。さてはデートかもって疑ってたとか?」
さてはさては、妹に先を越されたかと冷や冷やしたとか?
プププっ。
眉がぴくっと動いてるし。
「…それはそうと、もう決まったか?」
兄ちゃんは、すいっと隣のイタチに振り向いた。
さては話を逸らす気だね。
じとぉー。
「あぁ、決まった。頼むか?」
イタチは我関せずでメニューから目を離さない。
兄ちゃんはスルーを決め込む模様。
「そうだな。」
「デートかもってのはもういいの?」
「さぁな〜、なんのことやら…。すみませーん。」
都合が悪くなるとコレだもんなぁ、もう。