第12章 ここが人生の分岐点だったのかも…
そして、修行を始めて二時間後…。
「死んだ…。」
騙された…。
ぜんっぜん動けない…。
私は、店に着いて早々に力なく机の端に突っ伏している。
だって全身がガクガクなんですもの…。
「ほら、伸びてないで早く食べろよ。お前のリクエストだろ?」
他人事だと思って…。
兄ちゃんのせいでもあるんだからね。
「意外にメニューが多いんだな。」
イタチが見てるそのページって確か…サイドメニューのコーナーじゃない?
「肉はいいのか?」
「あぁ、そんなに好みではない。」
「え、じゃ何で焼肉行こうって言った時言わなかったの?」
そう、私達が今いる所は焼肉Q。
話の通り、バテた私を気づかって二人が私の希望を叶えてくれた。
ってか焼肉屋で肉が好きじゃないって…、食べる物無いじゃん?
言ってくれればいいのに。
「お、やっと起きたか。」
「やっと起きたか、じゃないよ、まったく…。軽くって言ったからには手加減してほしかったよ。」
切実にね。
私は重い腕を動かして、兄ちゃんが焼いてくれていた肉に端から手をつけていく。
じとっと見られてるけど気にしない。
取ったもん勝ちよ。わははは。
「イタチは食べられる物ありそう?ってか、なんかごめんね。」
「何がだ?」
「いやさ、イタチが肉ダメって知ってたら別の所にしたのに…って思ってさ…。」
私が言うと、イタチは優しげに首を振る。
「気にするな。食べたかったのだろう?」
おおぅ、微笑まれちゃったよ。
「あ、ありがと。」
なんというか、美青年の微笑みって無条件で受け入れちゃうものがあるよね。
…あれ、私だけかな。
ま、いいや。せっかくだし食べよう。
あ、そういえば…、と思い出してメニュー票を開いてみた。
確か、サイドメニューにおにぎりとか野菜盛り合わせとかあっさり系が載ってた気がする。