第11章 うちはの会合に初参加です
だけど、唐突にも前に彼が言っていた事を思い出した。
“忍は強さが全てだ。”
勝てば官軍のこの世界。
敗者は勝者に従う他ない。
だからこそイタチは強さに拘る、きっと。
「ねぇ…。前に”強さが全てだ”って言ってなかった?」
それ故に、純粋に気になった。
だって私のやろうとしてる事って、どっちかって言えば”逃げるが勝ちよ”なんだもの。
けど、意外な事にイタチは、うっと言葉を詰まらせた。
「それは…。」
ふいっと逸らす横顔はどこか拗ねてる様にも見える。
「ふはっ。」
思わず吹き出しちゃった。
だって考えても見てよ?
殆ど感情を表に出さないイタチがだよ?
下手すれば、周りからは常に無表情と勘違いされる程、動きが乏しいイタチ君がよ?
ちょっとかわいいかも。
「ごめんごめん、単純にいいのかなぁって思ったからさ。」
イタチはちらりと私を見た後、心なしかしゅんと沈んだ様な顔をした。
「…俺が手を貸すのは、不満か?」
「へ?」
ナニソレ意外な反応!
「いやいやいや、そんな事ないって。むしろ大歓迎。ね、兄ちゃん。」
私は慌てて兄ちゃんに話を振る。
だって、常日頃平常心がモットーですか?ってなくらいには甘えたりグチを言ったりなんてところを見たことがないんですよ。
そのイタチがこの反応!
びっくりしすぎて焦っちゃったのよ…。
「そうだな…。お前次第だな。」
「はい?」
何の事だ、と兄ちゃんを見上げると、意地悪そうに笑った顔が。
「だから、お前が決めればいい。お前が発端になる事だからな。」
「ちょっ、何言ってんの?そこは”お前も来いよ”っていうところでしょ。これじゃ私が気に入らないみたいじゃん。」
だから兄ちゃんに話を振ったのに!