第11章 うちはの会合に初参加です
「…まあ…、予想通りと言えば予想通りの反応だな。」
兄ちゃんが少し沈んだ面持ちで答えた。
と、そこで私は大事な事を思い出した。
「イタチ、昨日庇ってくれてありがとね。」
まだお礼言ってなかったわ。
イタチが庇ってくれなかったら今頃ここに立ってられなかった。
「いや…。いいさ。」
イタチは言いながら緩く首を振る。
「本当はもっと…、違う形で収められたらよかったんだけどな…。」
「ううん。庇ってくれただけで十分だよ。…受け入れられないだろうな、とは何となく思ってたしね。」
あれは、半ば思いつきの様なもので。
私も出来たらいいな、くらいにしか考えていなかった。
だからスグルさん達で試そうとしたくらいだもの。
…狡いよね、私って。
親切だけじゃないってのはこの事。
「でも、もう言っちゃった限りはやれる事はやってみようかな…なんて思ってる。」
スグルさん達の先駆けを待たずに、私も動こう。
うちは移住計画。
ここを抜けて、新しい土地で新しいうちはだけの里を作るの。
軌道に乗れば、いつかの悪夢だって死亡フラグだって、ぽっきりと折れるんだもの。
「…うん。やれる気がしてきた。」
「一人でやる気か?」
兄ちゃんが笑う。
「まさかまさか。もちろん、兄ちゃんも手伝ってくれるでしょ?」
にかっと笑うと、兄ちゃんはやれやれと苦笑した。
「まずは話を聞いてからだな。」
「俺も出来る限りはしよう。」
「「え?」」
まさかまさかのイタチからの嬉しいお返事が…。
思わず兄ちゃんと二人でハモっちゃったよ。
「…珍しいな。どうしたんだ?」
兄ちゃんの口ぶりからして、イタチは普段こういう事には首を突っ込まないんだろう。
「どうしたわけでもないさ。ただ…。」
そう言って言葉を切ったイタチは、少し寂しそうに微苦笑を浮かべた。
「ただ、何か大きなきっかけがほしいだけだ。流れが変わる何かが…。」
それを聞いた兄ちゃんも苦笑を浮かべる。
「そうだな、人の流れを変えるのは並じゃないかならな…。」
「ふーん…、そっか…。」
イタチでもそんな風に思うことあるんだ…。