第11章 うちはの会合に初参加です
「ごめんくださーい!」
開け放たれた玄関から中に向かって呼びかける。
こういうの見ると、懐かしいって思う。
玄関がこんなにオープンだってことは、ここは平和って事なんだと思う。
昔の日本の映像もこんな風だった。
「はい…。あぁ、エニシか。今日は治療の日だったな。」
スグルさんが嬉しそうに出迎えてくれた。
「マヤが首を長くして待ってるぞ。さ、上がってくれ。」
「お邪魔します。」
私は靴を揃えてから敷居を上がった。
「薬、効いてそうですか?」
案内されながら、スグルさんに聞いてみる。
処方してからまだ日は浅いが、効き目があるなら体調の変化は出る筈だ。
「あぁ、今まで息苦しい感覚が常にあったらしいんだが、薬を飲み始めてからそれが楽になってきたと言っていた。君の薬は凄いな。」
それを聞いて少しほっとした。
どうやら見立ては間違っていなかったみたい。
「それは良かったです。色々と調べた甲斐がありましたよ。」
そう言って少し戯けて見せると、スグルさんも少し笑う。
「今日は調子がいいみたいで、起きて待っていると思うぞ。」
とある一部屋の前で止まり襖を開くと、中から、こんにちは、と声がかかった。
見ると、椅子に座って背もたれにもたれかかったマヤちゃんがいた。
近くには出窓があって、色づいた紅葉の木が綺麗だ。
「こんにちは。調子がいいみたいだね。」
私が部屋へ入りながら返事を返すと、マヤちゃんはにこっと笑った。
彼女は浴衣姿に羽織を着て膝掛けを掛けていた。
長い髪は三つ編みにしてサイドに流してあり、寝起きから椅子に座って外を眺めてたってところだろうな。
「起きててもね、苦しくないの。とってもいい気分。」
本当に嬉しそうに顔が綻んだ。