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もう一度、を叶えるために。first

第11章 うちはの会合に初参加です




シスイは、止めどなく涙を流す自身とそっくりな目を暗澹たる思いで見つめた。
血は争えない、と改めて思ってしまう。
彼女の瞳は、巴三つから更に形を変えようと揺れ動いている。
将来を想うなら、このまま黙って開眼を待った方がいいのだろう。
けれど、絶望の痛みを知っているシスイには、ただ見守る、それだけの事が難しい。
エニシを見ていると、開眼した時の事がまざまざと思い出されて酷く胸が痛んだ。

「…俺を手伝うか?」

シスイは気づくと、そう声をかけていた。
しまった、と思ったが、出た言葉は戻らない。
何故なら、エニシの瞳はその一言で安定したのだから。

「本当…?」

彼女の瞳に、僅かに希望の色が宿った。

「あぁ…。俺も暗部を希望しようと思っていてな。火影様に打診して、正式に決まったらお前を引き入れる。」

当初には無かった計画だった。
シスイはエニシを巻き込むつもりは毛頭無かったのだ。
だが、三つ巴を開眼したエニシなら、仕事を任せてもいいのではないかと思い直した。

「但し、条件がある。」

そう。いくら開眼したとしても、使いこなせなければ意味がない。

「その写輪眼を徹底的に鍛えるぞ。それも短期間で。キツい修行になる。ついてこれるか?」

大分、無理を含んだハードスケジュールになるだろう。
何せ、シスイの暗部入りに間に合わせようとしているのだから。

「やる。何でもやる。だって私、まだ何も出来てないから。」

エニシの瞳には炎にも似た強い決意が宿っている。
シスイはそんな彼女の瞳を見て寂しそうに笑った。
一族の業を進んで背負う彼女が不憫で愛おしかった。

「…お前、馬鹿だな。」

穏やかに生きてほしかった。
だが、そう上手くはいかないものだと、落胆にも似た悲しみが吹き抜けた。

シスイは、強く目を閉じて深呼吸をし、再び目を開いた。

「明日からみっちりやるぞ。」

彼の瞳にも強い光が宿る。
理想通りに鍛える事が出来れば、きっとエニシにとってこの上なく強い武器になるだろう。

残り少ない人生の中で残してやれるものは、できる限り残してやりたいと、シスイは思う。
彼は明日からを想い、そっと星が瞬く夜空を見上げた。

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