第11章 うちはの会合に初参加です
無数の紅いの瞳を向けられて、私は恐怖で息を呑む。
「…今声を上げたのは誰だ。」
私は怖気付く自分を叱咤して、その場に立った。
「私です…。」
真っ白になりつつある頭を何とか動かして、この会合を止める手立てを探す。
「待って、とは…どういう意味だ。」
殺気とすら感じられるような鋭い目を向けたイナビさんを、私は震えながらも真っ直ぐに見る。
「…そのままです。…クーデターなんて、そんなの…、やって何になるんですか。」
「何だと…?」
「クーデターやって、どうしたいんですか。うちはが一番だと知らしめたいんですか?」
不遇を買ったからといって、暴力に訴えてそれが何になるっていうのよ。
「クーデターやったら、どうなりますか?誰一人死なせることなく里を制圧出来るって言うんですか?」
無理でしょ。そんなの不可能だ。
「何故里の奴らの心配までしてやる必要がある?奴らのせいで我らが虐げられているのだぞ!?」
今にも攻撃されそうな程に熱り立つイナビさんが凄く怖いけど、もう引けない。
出た言葉は戻らないし、取り消したくない。
「だったらそれはもう人殺しをしよう、と言っているものじゃないですか。」
どんな大義名分振り翳したって、刃を振り下ろせば、それはただの人殺しだ。
「それに、虐げられてません。疎遠にされてるだけで、頭を押さえつけられてるわけじゃないと思います。」
「お前は自分が何をされているか分からないからそんな事が言えるんだ!」
いいや、全く知らないわけじゃない。
この瞬間にも、外の至る所が監視カメラを通して見張られているかもしれない。
前世で見たことある。
けど、今世でそれを知ってるかというとそうでもない。
でも、でもだからこそ…。