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もう一度、を叶えるために。first

第11章 うちはの会合に初参加です




夜が更けて、宵闇という言葉が似合う時刻、うちはの村の中にある南賀ノ神社の地下の広間で、その会合は行われていた。
見覚えのある碑石が鎮座するそこには、所狭しとうちはの一族が並んで座っている。
明かりは一切無い。
真っ暗闇の中、黙ったまま、或いはひそひそと囁き合いながら、御神体が祀られているであろう神殿を向いて座っているのだ。

只々、不気味だった。
どんよりとした重々しい空気が漂い、一族の誰もが沈んだ顔をしていた。
その顔を見れば、これから話し合われる内容が嫌でもいいものでない事は想像がつく。


「エニシ…。」

母さんが、立ち尽くした私の背をそっと押した。
徐に振り返ると、神妙な顔をした母さんが頷く。

「座りなさい。お母さんは向こうにいるからね。」

そう言って、前の方へ歩いて行った。
私は不安な気持ちを押し殺して、空いていた手前の席に座る。

もしかして、あれから何も変わってないのだろうか。
クーデターの計画は、具体的な所まで上がっているのだろうか。
表面上は何の変哲もない、穏やかな村だ。
それが裏では鬱憤を抱えて今か今かと爆発を待っているのだろうか。
そう考えたら急に恐ろしくなった。

つらつらと考えていると、薄ぼんやりと明かりが灯る。
辺りを見回すと、四隅に人が立っていて、その人達が蝋燭に火を灯したんだと分かった。
長であるフガクさんが姿を現し、その後ろに腹心のヤシロさんとイナビさん、テッカさんが続き、イタチが最後に着いていた。

フガクさんは、腹心達を座らせると、神殿を背にして立つ。

「今日は皆に聞いてもらいたいことがある。」

そこで一度言葉を切ると、一族全員を見回した。

「イタチの暗部入りが目前に迫った。」

その言葉に、私は思わずひゅっと息を呑む。
いつの間に中忍になってたんだろう。

「うちはの人間が暗部に入る…。これは我らにとってこれまで以上の好機の到来を意味する。」

…好機って…。まさか…。

「では隊長。」

テッカさんが、静かに、けれど弾んだ声でフガクさんを呼ぶ。

「我らはこれまで幾度となく里の為に尽くしてきた。しかし、彼らはそんな我らに何をしてきた?」

その問いかけに誰も答えない。
けれど、皆が皆、一言一句聞き逃すまいと耳を澄ませている。
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