第10章 下忍スタート
中へ促されて、みんなで奈良家に上がる。
客間へ通された私達は、下座へと座り、家長であるシカクさんと対面した。
「改めて。聞いているとは思うが、俺は奈良シカクと言う。」
シカクさんが切り出すと、正面に座っていたスグルさんが口を開いた。
「俺はスグルと言う。こっちはエイリだ。」
スグルさんが紹介すると、エイリさんは軽く会釈をする。
「ま、エニシから大体のことは聞いているが、お前さんの口から改めて聞こうか。」
シカクさんは、スグルさんを促した。
「そうだな…。事の起こりから話そう。」
そう切り出して、あらましを説明する。
私達と戦闘になった事。
マヤちゃんの容体。
私が診察した事。
会談の内容。
シカクさんは黙ったまま聞き終えると、一度頷く。
「事情は分かった。んで、お前さん達はどうしたい?」
その質問にスグルさんは戸惑いを見せた。
「え、いや…。勿論、取引して貰えるなら痺れ薬を買ってもらいたい…。」
そう言った後、少しはっとする。
「シカクさん、是非とも俺達と取引をしてくれ。」
スグルさんが頭を下げると、エイリさんも即座に倣った。
「お願いします。」
二人を見たシカクさんは、少し笑って、頭を上げろ、と声をかけた。
「いいだろう。んじゃ、まずは試作品を幾つか作ってきてくれ。それによりけり値段を決めよう。」
「え、今決めないんですか?」
私が首を突っ込むと、シカクさんは私を呆れ顔で見る。