第2章 これからどうしよう
「セーフ!」
私は教室の後ろのドアを勢いよく開け放つ。
「アウトだ、馬鹿者!」
先生がすぐ後ろに立っていて、丸めた教科書でコツンと叩かれた。
クラスからどっと笑いが起こる。
時計を見ると5分過ぎてしまっていた。
「うちはのくせにダメダメだな、お前!」
一番後ろに座っていたトウキに揶揄われた。
私はゲッと顔を引き攣らせる。
こいつはいつも私を揶揄ってくるジャイアンみたいな奴だ。
入学以来、何度泣かされてきたことか…。
しかもジャイアンとは違い、成績も優秀なのでぐうの音も出ないと来た。
先生は一つため息をつき、エニシを教室の中へ促す。
「エニシ、早く席に着きなさい。」
「はい…。」
私は少し肩を落として自分の席に着いた。
「よし、授業始めるぞ。教科書を出すように。」
その声で、生徒達が一斉に教科書を開く。
今日はチャクラについての講義だ。
それを聞きながら、私はこの後に起こる様々な出来事に想いを馳せる。
昨日思い出したばかりの記憶は、私にとってはどれも遠い他人事のような事ばかりだ。
例えるなら、テレビの映像を見ているみたいな。ホームビデオ感覚なのだ。
それでも、アニメで見たNARUTOは今から起こり得る未来だ。
サスケが見たものを私も見ることになるんだろうか。
兄ちゃんや母さん、父さんが死ぬところなんて出来れば見たくはない。
そして、トラックに撥ねられた時のような痛い思いもしたくはない。
私に出来る事って、何なんだろう。
何をしたらいいんだろう。
兄ちゃんは一族全滅阻止を最後の目的にするな、とは言ったけど、諦めるな、とは言ってない。
免れない運命だとしても、やれるだけはやりたい。