第10章 下忍スタート
「ま、とりあえず。シカクさんにスグルさん達を紹介しようと思うんだけど…。」
折角、里に来たんだし。
また日を改めてってなると時間の調整とか、中々面倒かな。
丁度、シカクさん家にいるし、今日の内に顔合わせくらいは済ませたい。
そう思って先生達を見る。
トウキとユウは、互いに顔を見合わせてため息をつき、先生は困った様に笑いながら頷いた。
「シカクさんが良ければ俺はいいと思うよ。」
先生の言葉に、私はトウキ達を見る。
「先生がいいなら俺達は文句はない。」
「俺も。」
「じゃあ、今日行っちゃおう。」
そこで、スグルさん達を見る。
「…いいのか?そんな直ぐに。」
いいも何も許可は取ってあるんだし。
「商談だし、早い方がいいと思いますよ?」
私が言うと、スグルさん達は戸惑う様な嬉しそうな顔をする。
「何から何までありがとう。」
そう言って少し頭を下げた。
困ったのは私の方だ。
実は全くの親切でやってるわけじゃないから。
私には別の思惑があって、その前例を見たいが為にスグルさん達に手を貸したに過ぎない。
「大袈裟ですよ。私は橋渡ししただけです。シカクさんとの価格とかのやり取りも、痺れ薬の作成も、今からスグルさん達がやるんです。これからが正念場ですよ。」
そう。
まだまだ入り口に立ったばかり。
やる事は山積みなのだ。