第10章 下忍スタート
言うだけ言って、その人はスグルさん達から視線を切って火影様に戻した。
「これ以上話す事はありません。マヤとかいう娘の病は、そこのうちはが受け持つのでしょう?でしたらこれ以上この者達に付き合う必要はないのではありませんか?」
かっちーん。
随分と馬鹿にした言い草。
あとはお前らで勝手にしろってんなら、こっちにも考えがある。
「そうですね。では勝手にさせていただきます。」
私が話に割り込むと先生を始め、トウキ達がぎょっとする。
「スグルさん達の土地では、とある毒物が採取されるので、それを奈良家で引き取ってもらいます。シカクさんには許可取りましたから。”好きな様に”取引させてもらいますね。」
私はにっこり笑ってそいつを見据える。
「では、顔合わせはこれにてお開きという事で…」
「ちょっと待て。毒物って何だ。」
案の定食いついてきたが答えてやるもんか。
「これ以上付き合う必要はないのでしょう?話す事はないとご自分で仰ったばかりですよね?私達も話す事はないので、これで失礼します。」
私は丁寧にお辞儀をすると、
「さっ、帰ろ帰ろ。」
みんなを促した。
「…おい。」
おい、って。
犬か?私らは。
絶対無視だ。
「…おい待て。」
私は戸惑いながら席を立つみんなを、”早く早く”と促しながらドアへと向かう。
「おい!」
まだ言うか。
私は一度止まると、くるりと振り返りにっこり笑った。
「すみませーん。私達犬じゃないんですよー。おいって言われても答えられませーん。」
言った途端、そいつは唖然と固まった。
けっ、口喧嘩で勝てると思うなよ。
よし、今度こそ出ていくぞ、と思ったら、
「あっはっはっはっ!!」
火影様が大笑いし出した。
「話には聞いていたが、ほんによく口の回る子じゃ!」
言って、また大笑いし出した。
今の、どこら辺がツボだったんでしょうか。
そして褒められた気がしない…。
「…帰っていい?」
ぼそりと呟いたら、
「「ダメに決まってんだろ。」」
両サイドにいたトウキとユウに叩かれた。