第10章 下忍スタート
調合して丸薬にしたものを袋詰めにし、あうんの門へと向かう。
そろそろ着く頃じゃないかな。ちょっと遅くなったかも。
「遅せぇぞ、エニシ。」
「お前が一番遅くてどうすんだよ。」
トウキとユウは腕を組んで言う。
「ごめんごめん。調合とか色々してたら時間かかっちゃって。」
二人の後ろには先生とスグルさんと仲間のエイリさんが既に待っていた。
「調合って、もしかしてマヤのか?」
スグルさんの問いに頷いて見せた。
「お待たせしました。これがそうです。」
持っていた紙包を渡すとスグルさんは目を見開いた。
「最初は朝だけ飲んで様子を見てください。それで大丈夫であれば朝と晩の二回に回数を増やして飲んでみてください。」
「…本当にやってくれたんだな。」
スグルさんは困った様な嬉しそうな複雑な表情を浮かべながら笑う。
「前金みたいなものです。」
あくまで数回分しか用意してはいないからね。
「さて、行きますか。」
先生の掛け声に私達は頷き、歩き出す。
目指す先は火影屋敷だ。
「失礼します。犬塚です。」
先生がノックと共にとある一室で声をかけると、中から”入りなさい”と声がかかった。
「失礼します。」
先生を先頭に入り、スグルさん、エイリさん、トウキ、ユウ、私の順で入っていく。
「よう来たな。ここへお掛けなされ。」
出迎えたのは火影であるヒルゼン様。
すごいな。側近二人を連れているとは言え、ご本人自ら”始めから”対面するなんて。
てっきり、今日は側近だけの顔合わせのみに留まるのかと思った。
「…意外かの?」
目が合った瞬間にそう問われた。
…え、私今何も言ってなかったよ?
「噂通り、顔に出る子じゃの。」
ほっほっほっ、と朗らかに笑いながらズバリ言い当てられ、思わず身を縮こませた。
「…お前は。」
隣にいたユウは小さく言って私を小突いた。