第10章 下忍スタート
「ごめんくださーい。」
すっかり常連となった奈良家の戸口で声をかけた。
「…なんだ、エニシか。」
出てきたのはシカマル…にそっくりなシカクさん。
いつ見ても渋カッコいい。
「今日もお邪魔します。」
私はにっと笑って答えた。
「あんた、”いらっしゃい”くらい言ったらどうだい?ごめんねぇ、無愛想で。」
シカクさんの後ろから、ヨシノさんも出てきた。
その後ろにはシカマルもいる。
シカクさんは、後ろ頭を掻きながら、へいへい、と少し面倒そうに答えている。
相変わらずのカカア天下だ。
「いえいえ、見習い扱いで全然大丈夫です!寧ろ、毎回ありがとうございます。」
私は両手を振りつつ言う。
変にお客さん扱いで来づらくなるのは御免だ。
雑な扱いで十分です。
その代わり色々と薬学を教えてもらえるんだから。
「今日はシカクさんに聞きたい事があってきました!」
私がにんまり笑いながらシカクさんを見ると、すっごく嫌そうな顔をしながら、指で中を指した。
「お前も物好きだな。」
「ありがとうございま〜す。」
お邪魔します、とヨシノさんに声をかけて、ついでにシカマルの頭をひと撫でしてから、シカクさんの後を追った。