第10章 下忍スタート
二つ、里に来る護衛任務などの専属契約。
先生に確認したら、この辺りでの護衛や盗難被害の依頼が結構多いんだって。手が回らないくらいには件数があるみたい。
スグルさん達だけじゃなく、他のシマの盗賊達の仕業って事も多いみたいだし。
だから、この辺りの依頼独占みたいな事が出来れば、職にあぶれる、なんて事がなくなると思ったんだよね。
まぁ勿論、紹介料として何パーセントかは里に貰わなきゃ、里側が割に合わなくなるからね。そこはしっかり払ってもらわなきゃだけど。
但し、これはスグルさんの交渉次第で、リベートの割合も依頼獲得の割合もぜんぜん変わってくる。
ってなわけで、これらの条件を飲む代わりにスグルさん達に渡す報酬は、娘のマヤちゃんの長期治療を引き受ける事。
勿論これは、私が担当する。
そうする事で、私がスグルさん達の捕縛や刑罰の免除を訴える事が出来るし、スグルさん達が里に交渉する機会を作る事が出来るってわけだ。
それに、私の知ってる通りのヒルゼン様なら、きっと悪い様にはしないと思うんだ。
で、冒頭に戻る。
「俺はそうは思わない。」
さっきからずっと反対してるんだよね、この二人。
「俺も。」
トウキとユウの機嫌は一向に直らない。
困ったねぇ。
「…逆に何でそんなに反対するの?」
私は逆に聞いてみた。
だって全然分かんないだもん。
スグルさん達は盗賊ではあるけど、根っからの悪人ってわけじゃなさそうだし。
でも…。
「「あいつが嫌いだからだ!」」
二人は揃って噛み付く様に言い募ってきた。
「そんだけかい。」
子供か?
…子供だったわ、そういや。
私は思わず肩を落とした。
「ははは…。」
先生はちょっぴり苦笑いを浮かべていた。
お爺さんは…無反応だった。
相変わらずだ。