第10章 下忍スタート
その日の夕方。
無事に隣町まで辿り着き、ヤギを売る事が出来た私達は、盗賊の頭…もとい、スグルさんに案内されて、アジトまでやって来た。
勿論、お爺さんも一緒です。
え?危なくないのかって?
若干危険だけど、私の思いつきに賛同してくれたこの人なら多分信用しても大丈夫かなって思うの。
「娘のマヤだ。」
他の家屋より一回り大きい家に案内された私達は、奥の間で床に伏せる女の子を紹介された。
熱があるらしくて、顔が赤く、大きい目は虚気味で、呼吸が荒い。色白だから尚のこと赤くなった頬は目立つ。
年齢は七歳前後ってところかな。
「…だ、れ…?」
声が弱々しい。
熱のせいなのか、言葉も辿々しい。
「マヤ、お医者さんを連れて来たぞ。」
スグルさんが言うと、マヤちゃんはこっくりと頷いて見せた。
お医者さん…とはまた違う気がするけど、まぁいいか。
「早速ですけど、診てもいいですか?」
「あぁ。頼む。」
スグルさんは立ち上がり、マヤちゃんの頭側に席を移った。
「こんにちは。初めまして。」
私がマヤちゃんに話しかけると、彼女は私をじっと見た。
「今からあなたの体を診るね。少し触ってもいい?」
この問いに、マヤちゃんは小さく頷いた。
肯定とみて、私はそっと手首をとって脈を診る。
間隔は早いが異常なリズムじゃない。
「お胸診てもいいかな?」
これにもこっくりと小さく頷きが返ってきた。
私は布団を上半身が出るまで捲り、肺の上で両手を翳す。
肺の状態をスキャンするのだ。
翳した両手の平にチャクラを溜めて、気管支から肺胞に至るまで、慎重に診ていく。
すると、左肺の末端で違和感を覚える。
働きが弱い箇所があったのだ。
右側も見てみると、左よりはマシだけど末端の一部が働きが弱かった。