第10章 下忍スタート
ま、とりあえず。それは置いといて。
「話し戻りますけど、娘さんの状態は?」
これを聞かなきゃ始まらない。
交渉の要である。
「診てくれるのか?」
頭を始め、盗賊達は意外そうに私を見た。
いやいや…。
そんな期待を込めた目で見られても…。
「み、診るだけなら診ますよ。でなきゃ治せるかどうかも分からないし。」
そう、治せるかどうかはまだ分からない。
私の手に負えなきゃ、里の病院にかけ合わないといけないし。
かけ合っても希望通りにいくとは限らないしね。
そしたらきっと、”私が”交渉する事は出来ない。
そうなったら、盗賊達は投獄。最悪は治療すら儘ならないだろうな。
「あぁ、いいよ!診てもらえるならそれだけでも!」
「せめてどんな病なのかが分かれば何か分かるかもしれないしな!」
えぇぇ…。
ほんとにいいの?
何とも困っていると、横からぐいっと肩を掴まれた。
「エニシ!お前人が良すぎるぞ!」
「話を聞くだけじゃなかったのか!?」
トウキとユウが怒りの形相で詰め寄っていた。
「聞いていたのか!?こいつらは助けたところで絶対改心なんかしないぞ!?」
「何でそんな奴を助ける必要がある!?」
「ちょっ、ちょっと落ち着いて…!」
両方からぐらぐら揺すらないで…!
気持ち悪くなるから…!
私は慌てて二人の手から離れた。
「や、うん。分かるよ?分かるんだけどね?」
「「じゃ、何だ!」」
「そんな怒るなって。勿論、タダで治すとは言わないよ?」
「「「え゛…?」」」
私の言葉に盗賊達が揃って固まった。
甘いな〜。
世の中ギブ&テイクですよ、皆さん。
さて、ビジネスの話をしようじゃありませんか。
「私の考えはね…」
私は思いついた事を話して聞かせた。