第10章 下忍スタート
「いや、だからさ。ちょっとは話し聞いてみようよ。」
自分を助けてくれ、ってんならいざ知らず。
この人は”あの子を”って言った。
それ凄い気になるし。
そう思ったんだけど、二人は何言ってんだと言わんばかりに変な目で私を見始めた。
「分かってんのか?お前、今いいように使われようとしてんだぞる」
「だいたい、助けてやる義理も何も無いだろ?」
ユウとトウキは代わる代わる私を諭しにかかった。
いやいや。そんなダメな子を諭す様に言わないでよ。分かっとるがな。
「確かに義理も無いんだけどさ。私は、あの人達が何を思ってこんな事したのか知りたいのよ。二人は気にならない?」
私が逆に問い返すと二人はちらっと顔を見合わせる。
「そりゃまぁ…。」
「気にならない事もないけど…。」
二人が肯定したのを見て、内心にんまりと笑う。
「それにさ、人にはその人なりの事情があるわけで。悪者だから聞く耳もたないってシャットアウトするのはどうかな、と思うわけで。」
私が言うと、ユウは少し困った様な呆れた様な顔になり、トウキはあからさまに嫌そうな顔をする。
「…お前、何企んでんだ。」
それはそれは低い声でトウキが訊ねる。
「やだなぁ、何も企んでないって。」
私は愛想笑いを浮かべて縦に手を振った。
ほんとに、知りたいだけだって。
あわよくば面白そうな話が聞けるかもなんて思ってないって。
「あ〜…。俺分かったわ。野次馬だ、これ。」
ユウはそう言ってやれやれと肩を竦める。
「え、何で分かったの…?」
いやいや、今一言もそういう話ししてなかったよね。
「「お前、全部顔に出てるぞ。」」
…なんか、いつかにも言われたセリフを二人に言われてしまった。