第10章 下忍スタート
お爺さんに手伝う為に、分担してヤギ達を引っ張って元の道へ出す。
すると、そこには当然、お縄にした盗賊達がいる。
何となくお爺さんの反応が知りたくて、そっと伺い見た。
やっぱり黙ったまま、眉を顰めただけだった。
その反応が、やっぱり引っかかる。
「何見てんだよ。」
後ろからトウキがこそっと尋ねてきた。
「何って、お爺さん?」
私も首を傾げながら、こそっと曖昧に答えると、半眼が返ってきた。
「見れば分かるっての。だから、何で見てるんだって聞いたんだよ。」
まぁ、そうだよね。
私も意図は分かってたよ?
分かってたんだけど…。
「う〜ん…。具体的に何で、って答えにくいというか何というか…。何か気になるんだよね、反応が。」
「反応?」
今度はトウキが首を傾げた。
「何の話だ?」
ユウもこそっと話に入ると、トウキが肩を竦めて親指で私を指さす。
「こいつがさ、あの爺さんが気になるんだと。」
「それ、すごい紛らわしい言い方だよね?」
間髪入れずに突っ込んだ。
それだと私がお爺さんを好きみたいじゃん!?
全くもって不本意だ。
「へぇ、お前お年寄りが好みなのか?」
にやにや顔で返すのが腹立つわ。
「ちゃうわ。どんだけ年上好きなんだよ、それ。」
「まぁまぁ、照れるなって。」
違うっつーの!
「よっしゃ。久々に決闘を申し込む。」
拳で白黒つけようじゃないの。
私が自分の拳と手の平を叩いて見せると、途端に焦り顔を浮かべた。
「やだよ。絶対お前が勝つじゃん。」
そして速攻で断られた。
っていうか断るなよ!?
「散々決闘だの果たし状だの出しといて、いざって時は断るんかい。」
そりゃないよね〜。
私がぐちぐち言うと、ユウが騒めきだった。