第10章 下忍スタート
「了解。」
ユウは私の指先を視線で追って頷くと、一気に駆け出した。
私は素早くトウキの背後に回り、敵の死角になる位置まで距離を詰める。
「でやぁぁあ!!」
ユウの掛け声で、敵の目がトウキからユウに向く。
と同時に、私は写輪眼を出し、トウキの背後から高く飛んで、クナイを振り上げた。
異常に気が付いた敵は、ユウと交えていたクナイを振り払い私の方を向いた。
たが、殺気の籠った目は一瞬で恐怖の目へと変わる。
「しゃ、写輪眼…!?」
その恐怖はそいつの身を一瞬強ばらせた。
胴体ががら空きだ。
その隙を目掛けてクナイを放つ。
「ぐぁ…!」
狙い通り。ど真ん中命中。
正面にいたトウキが更に鳩尾目掛けて蹴り倒し、KO勝ちだ。
「次だ!」
ユウがいち早く動き、打ち合わせ通りにサポート役の奴目掛けて水鉄砲を放った。
ユウは水遁系だったんだよね。
威力としては未熟だけど、目眩しにはもってこいだ。
攻撃の手が少し止まるだけでも、私達の攻撃が入るチャンスが生まれるって事だから。
この一瞬のタイムラグは貴重なのだ。
「火遁、鳳仙火の術!」
トウキは火遁系だったんだわ。意外にも。
こちらも威力としてはまだまだだけど、見た目のインパクトはそれなりにある。
「うわっ!」
火の玉が五個もいきなり飛んできたら、そりゃびっくりするよね。
狙い通り態勢は崩せた。
私はすかさず印を組む。
「火遁、豪火球の術!」
最後はそれなりの大きさのある火の玉がクリーンヒットです。
ごっつぁんゴールよ。
「ひっ!!熱っ!!」
あっと言う間にそいつは火に包まれたけど、知らないね。自業自得。
それに気を取られてたらしいもう一人が、見てない間に先生にノックアウトされてた。
これで全部片付いた。
「水遁、水牢の術。」
「がぼっ…!」
ユウが火だるまとなった敵を術で捕えた。
あらら、髪の毛ちりちりになってるわ。
私とトウキはそれを見て、ちょっと吹き出した。
「まさか、ここまで出来るとはね。」
先生は困った様に、だが少し楽しそうに笑った。