第10章 下忍スタート
「これは戻った方が良さそうだね。」
先生の判断で、私達は元の場所に駆け出した。
途中、崖から降りた所で、ちらっと見たらムナの木があった。
木の麓にもタヤらしきものがしっかり生えている。
原因はこれだろうな。
って事は…。
犯人はこの崖を登った事になる。
そうなると、武術の心得がある人って事だよね。
気を引き締めてかからないと。
もう少しで元の場所に戻るって所で、誰かが争う音が聞こえてきて、私達は足を止めた。
どうやら、みんな戦闘になってるっぽい。
「…エニシはここで待機。いいね?」
指示が出たから頷いて見せると、先生は小さく頷きを返し、その場で煙となって消えた。
とりあえず、状況把握が出来ないかな…。
手近な木に足をかけてなるべく目立たない様にそろりそろりと登って行く。
見えてきた…。
上に登るに連れて人の配置がよく分かる。
向かって右側に三人、左側に三人、正面に二人。みんなの背後に二人隠れてる。
結構な人数だこと。質より量ってか?
忍相手に、確実に勝つ為に数で押し切ろうみたいな。
力関係は拮抗してる感じ。
先生が多く相手してるけど、この数相手にすると、ちとキツイかな。
トウキ達も奮闘してるけど、なんせ多数相手にするとなるとどうしたって集中力も体力も分散されてしまう。
大丈夫かな…。
私このまま待機しててもいいんだろうか。
と思ったら、みんなの背後にいる奴らが動いた。