第10章 下忍スタート
けど、恨まれてるんだとすると痺れさせるだけってのは甘くない?
なんだったら、死に至る毒でも良かったわけじゃん。
そう考えると、もしかして命まで取るつもりないんじゃないかな。
とすると、別の目的がある?
目的って何だろう。
ひょっとして私達じゃなく、私達の”持ち物”が狙い?
私達は今任務中であって。
その中で一番金銭的価値が高い物は…
「…ヤギ?追い剥ぎですか?」
「どうしてそう思う?」
私が聞くと、先生は逆に問い返してきた。
「今、私の舌は痺れています。この症状、前に本で読んだことがあって、多分ムナの実の毒じゃないかな、と。そうすると、敵の目的は命を奪う事じゃなく、別にある。
今任務中で、積荷で一番金銭的価値が高い物はヤギです。」
だから、私は正直にありのまま答えた。
すると、先生はにっこりと笑って頷く。
「そうだね、僕もそう思う。けど、毒の元までよく分かったね。」
「伊達に図書室に齧り付いてたわけじゃないっす。」
私が答えると、先生は困った様に笑った。
「成程ね。その成果が実を結んだって事だね。」
「そういうことっす。」
私はにっと笑って答えた。