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もう一度、を叶えるために。first

第10章 下忍スタート



私が聞くと、先生は不思議そうに目を瞠った後、手に掬って匂いを嗅ぎ始めた。
そして、一口口に含んだ後、私と同じ様に吐き出して苦い顔をする。

「…これは…。この湧水は止した方がよさそうだ。何か、薬の様な物が入ってる。」

「え?…湧水ですよね?」

それも人が容易に立ち寄れない場所だ。
薬なんて人為的な物が何で混ざってるの?

私が首を傾げて見せると先生は微苦笑を浮かべた。

「誰かがここに薬を撒いたんじゃないかな。俺達が来ると踏んで。」

「そんな馬鹿な〜。」

誰が来るって言うのさ?
私は思わず笑ってしまう。

「分からないけどね。でも、何事も疑ってみる事は大事な事だよ。」

「ふ〜ん…。」

まぁ、そりゃそうか。
忍なんだし。疑わなきゃ、見抜けない事はたくさんあるんだろうな。
“そんな馬鹿な”で片付けたら、その先の可能性は考える事はないもんね。

誰かに狙われてるのだとしたら、か…。

そういえば、なんか舌がビリビリしてきた。
痺れてるのかも。

…そういえば、この症状、前に本で読んだことある。
薬学の本で毒物のコーナーにあった。
これ多分ムナの実じゃないかな。
即効性があって、少量でも一時間くらいは全身が痺れてしまう。
でも、毒の抜けも早いらしくてほっとけば自然と抜けていく。
すぐに解毒したいのなら、ムナの木の麓に群生するタヤって薬草がいいらしい。
液体状にして飲むと即効性があるって書いてあった。

もしも今攻撃されてるんだとして。
痺れちゃえば、どんな強豪だって赤子同然だもんね。
でも私達、誰かに恨みを買った事ないと思う。
今日が初任務だし。
なんだったら昨日までアカデミー生だったんだし。

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