第2章 これからどうしよう
シスイは隣で眠るエニシを眺めた。
今日は驚きっぱなしだったな、と振り返る。
突然木から落ちたかと思いきや、起きた途端に別人の様な雰囲気を纏い、大人しく家に帰ったと思いきや、いつもは座りもしない机に向かってみたり。それも一心不乱に予言を書き連ねていた。
前世なるものが本当にあるのかは、実を言えば、シスイの中で半信半疑ではあった。
シスイは、そういったまやかしじみたものは全く信じていない。
死んだら終わり。
後は朽ちていくだけ。
そう思っていたのだが、エニシの話を聞き、少し考えが変わったように思う。
「前世か…。」
自分の前世はどんなものだったんだろう、とシスイは想いを馳せる。
前世もうちは一族だったのだろうか。
それとも違う、ごく普通の人間だったのだろうか。
そんな風に考えてから、ふと我に帰って緩く首を振った。
エニシの事象が特殊なのだろう。
誰もがエニシの様に違う過去の記憶を持つわけではない。
「うちは全滅…か…。」
それも、イタチの手によって遂行されると聞いた。
シスイは、苦いものを含む様に胸の辺りを掴んで、少し体を縮めた。
父を含め、大人達が里に不満を持っている事は知っている。
そして、力を見せつけ武力で事を収めようと画策している事も知っている。
ただでさえ不満が広がっている中で、九尾の責任を問われれば更に不満が加速する事も簡単に想像できた。