第10章 下忍スタート
「メェェエエ!」
「メェェエエ、メェェエエ!」
「メェェエエ!」
カラカラカラカラ!!
カラカラカラカラ!!
鳴き声もさることながら、首につけているベルも物凄く煩い。
煩い通り越して耳が痛くなる。
ダメ元で外せないかお爺さんに聞いてみたら、逃げた時探せなくなるだろうが、って怒られた。すんませんねぇ。
現在、私達は山道を移動中。
ヤギを五頭引きながら、なだらかなアップ、ダウンのある道をヤギに合わせてゆっくり歩く。
これがまた大変で…。
子供を連れている様なもので、あっちふらふら、こっちふらふらと、野草を食べようとするわ、道を外れようとするわで、その度に首に巻いたロープを引っ張って軌道修正させるから、おちおち余所見もできない。
一頭、それも先頭の方が外れようとすると、後の四頭も外れようとするから、みんなで軌道修正する。
なんか、側から見たら笑えるよ。きっと。
ちょっと開けた広間みたいな場所に着いた時、そろそろ休もうか、という先生の一言で、休憩になった。
ヤギのロープを適当な木に括り付けて縛ると漸く両手が自由になる。
う〜ん!開放的!
天気もいいし、絶好のピクニック日和だね。
春の初めだけど、この時期にしてはあったかいし。
しっかし、いい景色。
前世だったら考えられない程自然が豊か。
だって見渡す限りみ〜んな森なんだもん。
家ある?ってくらい見当たらない。