第10章 下忍スタート
まぁ、気持ちは分からんでもない。
けど、依頼主と諍いになるのはいかがなものかと…。
そう思った私は、こちらを見る先生をちらっと見てから、今にも飛びかかろうと構えているトウキに待ったをかける。
「まぁまぁ。そんな怒るなって。子供ってそう見られがちだしさ。仕方ないよ。」
「「お前、それでいいのかよ!?」」
おぅ…。
間髪入れずに息ぴったりな返事が返ってきたよ。
しかも、怖いお顔がめっちゃ間近で怖いっす。
私はお手上げと言う様に胸の前で両手を挙げる。
「いいも何も…。依頼をこなせば事が済むじゃん?ついでに私達の力が実践で使えるかどうか分かるわけで。だから気にする必要ある?って思うわけ。」
「そりゃまぁ…。」
「そうだけど…。」
一理あると思ったのか、二人は大人しくなる。
「子供である以上、そういう目で見てくる人は多いと思うよ。だったら実力を示すまででしょ。そうすりゃ、よっぽどじゃない限り、それ以上馬鹿にする奴はいないって。」
「エニシ…、目の前に依頼人がいる事忘れてない?」
先生の一言で、はっと我に返ってお爺さんとお婆さんを見る。
すると、お婆さんはくすくすと笑っていて、お爺さんは苦虫を噛み潰した様な渋い顔をしていた。
「…好きにせい。失敗は許さんからな。」
そう言ってお爺さんは家の中に戻って行った。
うわぁ…、性格悪いわぁ。
普通、追い込む?
うちら子供よ?
「ごめんなさいねぇ。あの人無愛想で…。今日はよろしくお願いします。」
お婆さんは、苦笑しながら言った。
う〜ん…、先が思いやられる。